あけまして、おめでとうございます。
 江戸時代の川柳から一句

 よく歩く子に くたびれる 親の口

 幼児さんは歩き始めると怖いもの知らず、何処へでも突撃します。はらはら後を追いかける大人も大変です。親は付いて行けなくなり、口が先に出てしまいます。

 公園などで子どもが遊んでいるのを見ると、なぜか皆走っています。歩いている子は余りいません。まるでじっとしていられないパワーがはじけそうです。小さいお子どもと暮らしている里親も追いかけっこをしているのでしょうか。子どもの言うがままになるしかない大人。

 そんな子ども時代を共に過ごすうちに、いつしか青年になっていきます。すると「息子の耳は馬、面は蛙なり」と変わってきます。何を言っても馬耳東風、行く末を思ってする説教も蛙の顔に何とやら・・。昔も今も変わりはないようです。

 川柳の特徴なのでしょうか、この二つの句にはどこか“子どもが可愛くて”という思いがにじんでいます。ゆとりすら感じられ、独り立ちしていく子どもへのエールも見えてきます。子どもへの愛おしさを感じさせるのはなぜなのでしょうか。そこには子どもを信じ、託していく何かが根底にあるように見えてきます。

 加えて昔は皆寿命が短かく、子どもの早い巣立ち、親子の死に別れは誰もが覚悟していたのでしょうか。それ程長くない親子の生活を肌で感じ取っていたのかも知れません。そんな背景を考え合わせると、親が子どもに見せる絵柄におもひと味違う風景が見えてきます。限りある出会いの中で、子どもにバトンタッチしていかなければならない暮らしの知恵があったのかも知れません。

2018年1月1日
NPO法人 東京養育家庭の会
理事長 青葉 紘宇

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