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措置費への課税を巡って

昨年の年末に里親への措置費が雑所得として課税の対象となっているという通達が届いた。厚労省などとのやり取りで法令を順に追っていくと、課税に至る道筋は仕方ないという流れであった。里親の皆さんは狐につままれた感じを受けたのではないかと思います。
 実際の対応としては、措置費収入は全額使っているはずなので、確定申告時の雑所得に計上する必要はなくなるということで落ち着いた。このことは先にお知らせした通りです。この稿では、私たちの法令解釈の勘違いから出発して、今後の夢を述べてみたいと思います。

1 里親手当が措置費の中に組み込まれていた事実を理解していなかった。
 措置費は生活費そのもので、里親手当は謝礼的な意味で措置とは別に付いていると勘違いしていた。今回の出発点で、里親手当が生活費の延長線上にあると規定されていることが分かった。つまり、全て子供のための金品であり、里親の営みは全てボランティアということが明確になった。
 里親手当てを労働の対価と位置付けるかどうかは、慎重に論議を深める必要があり、家庭養護の意味を整理する必要が出てきた。家庭での養護が労働の要素をどこまで含んでいるのかという問題である。

2 今回の里親関連措置費に課税されるとした根拠は、社会福祉法の福祉事業に列記されていないからというのが理由であった。詰まる所、里親の営みは個人的な振る舞いに過ぎないという位置付けになっていたことである。個人が講演などで謝礼を貰った時と同じ扱いになる。事業とするかどうかは慎重に判断しなければならないのは、前に述べた通りである。児童福祉法57条に、この法律に基づく支給金品には公課しないと明記されているが、里親はこの規定は障害関連の手当などを想定したもので適応しないことが判明した。

3 これからの方向について一言。
 里親手当を労働の対価と位置付けて所得税を納税するのも一つの途ではある。また、里親と金品の関係を曖昧な位置付けにしてくのも一つの方法で、雑所得に位置付け必要経費を認めてもらう方式も生活の知恵と言える。
 福祉事業として里親を位置づけるのも選択肢の一つである。この方式は里親個人で対応できなくなる虞もあるので、大幅なシステム改築が起こり、判断は慎重にしなければならない。しかし、里親を一括りにして事業集団を作り、事業団が子供を受託していくという構想に発展させることは可能であろう。この考え方には捨てがたいものがある。地域に複数の事業集団を設定し特徴のある活動を展開する。この方向は、手厚いケアーをセットさせて難しい子供を専門に受ける集団の生れる道を開くことにつながるだろう。

里親委託3割構想を目指すのなら、職業的な里親集団が出てこないと達成できないだろうから、絶対にダメという話にはならない。ここまでくると施設と里親の距離感は少なくなるし、方式としてはアメリカ方式に近いシステムになってくる。

NPO法人 東京養育家庭の会
理事長 青葉紘宇